サラリーマン大家 究極(?)の節税方法
私はブログ名にもあるようにサラリーマン大家として、サラリーマン収入と家賃収入の双方を得ています。2018年末の現在、まだ大家としては2年の経験しか積んでいません。そんな私も現在、1棟、6室の区分を所有しており、大家業開始当時は深く考える必要のなかった大事な問題について検討する必要が出てきました。
そう節税対策です。
今回は、サラリーマン大家が取れるいくつかの節税対策について考察するとともに、究極の節税方法について紹介したいと思います。(但し、この方法を実践できる方はかなり限定されるかと思います。あらかじめご承知おきください)
前提
今回のトピックで触れる節税対策については、例えば
- いろいろな経費計上(光熱費や会議費、書籍、マイカーなどなど)
- 専業主婦の妻に給与を払うことでの青色事業専従者給与
といった、個々の施策については触れません。こういった「正当に当然やるべきこと」はやった上で、さらなる対策をどうするかについて考えたいと思います。
法人化と、青色申告事業者の65万円控除
まず、多くの書籍、ブログ等でも当たり前の手法として紹介・推奨されている不動産事業の法人化について。
私も今保有する新築アパートを購入する際に、法人化しての購入を検討しました。が、悩んだ結果、結局は法人化せず個人(妻との共同名義)にて購入しました。
これには大きな理由があります。それが青色申告事業者の65万円控除です。
■青色申告事業者の65万円控除
このページを読んでおられる方には常識かもしれませんが、不動産物件が戸建て5棟、あるいは区分10室を超えると事業的規模となり、複式簿記による記帳などを行う前提で65万円の控除が認められます。そして、大変重要なのがこれを夫婦等で保有する場合は、夫婦のそれぞれに対して65万円控除となるという点です。すなわち130万円。
これは非常に大きいです。たとえば、10室一棟のアパートを5000万円、利回り8%(家賃収入400万円)で購入した場合を考えてみましょう。粗い計算ですが、
- 収入 +400万円
- 経費 -20万円 (経費率5%で概算)
- 管理費 -20万円
- 固定資産税 -15万円
- 減価償却費 -110万円(木造、土地:建物=50:50)
- ローン利息 -50万円 (年々減っていきますが、購入当初のイメージ)
といった条件だと、収支はトータル+185万円。
これにかかる所得税+住民税はサラリーマン収入により変化しますが、ある程度のボリュームゾーンと考えられる課税所得695~900万円の場合は、33%となります。
よって、185×33% = 61万円の税金です。
が、夫婦共有名義での65万円控除を使用すると
(185-130)×33% = 18万円と激減します。
税率ベースだと、33%だったものが、10%弱(18/185)になったことになります。
※妻の所得が695万円以下の場合は、さらに効果は大きくなります。
■法人化での減税効果
法人化のメリットは、
- 個人に比べて経費の範囲が広くが使いやすい
- 小規模企業共済、法人保険が使える
- 短期譲渡所得の概念がない(5年以内の売却でも高くならない)
- 子供等への資産譲渡が容易
- 赤字の繰り越しが可能
- 役員退職金での節税
など幾つかありますが、やはりメインの目的は税率にあると言えましょう。(個人的には赤字のメリットはかなり羨ましいのですが)
またまた例ですが、
サラリーマンの課税所得が900万円、これに家賃収入(経費等控除後)が800万円となった場合、法人化しない場合は(65万円をいったん忘れて)税率は43%!
これに対して法人での実効税率は25%弱です。(加えて法人住民税の均等割7万円)
法人化すると税理士費用等も必要になりますので、ある程度の規模の家賃収入がある前提では、やはり法人の方がお得なのは間違いないかと思います。
ただ、青色申告事業者の65万円控除と法人化は併用することが可能です。よって65万円控除をまずは個人で享受したうえで、さらなる拡大を法人で実施するのが良い選択かと思います。
究極(?)の節税方法
上記の青色申告事業者の控除と法人化の併用がよいと思っていたのですが、それを超える節税方法があります。それは海外移住/勤務での非居住者化です。
海外居住者の場合は、日本での所得税、住民税の支払い義務はありませんが、日本国内を源泉とする収入(不動産収入など)分のみ所得税支払いの義務が発生します。
給与所得分はその勤務国での支払いとなりますので、給与所得と不動産所得を通算しての高い税率支払いが不要となるのです!
先の課税所得が900万円、家賃収入が800万円の場合、家賃収入分の税金を3パターンで考えます。
①個人の場合
800万円×43% = 344万円
(800-65)万円×43% = 316万円 ※青色申告事業者控除の適用時
②法人の場合
800万円×25%+7万円(均等割り)+20万円(税理士報酬) = 227万円
③海外居住の場合
(800-63.6)万円×23% = 169万円
(800-65-63.6)万円×23% = 154万円 ※青色申告事業者控除の適用時
いかがでしょうか?海外居住の場合、サラリーマン所得を考慮しない所得税になるうえに住民税の10%がかからないため、大きな効果が出ることが分かります。
ただ、そのために海外居住/転勤できるのか?という話が当然あります。加えて、メガ大家クラスになると、サラリーマン所得なんて無視できるレベルになるので、法人化の方が海外居住であっても有利となることになります。
したがってこの節税方法が適用できるのはかなり限定された条件のサラリーマンとはなるかと思います。ただ、私はタイ不動産を所有していることもあり、海外勤務にもあこがれがあるため、夢物語ではなく、本気でこの手法の適用を現在考えています。早ければ来年には海外勤務になるかもしれません。いつかこの実践結果をお伝えできれば幸いです。